Culture Magazine from Beppu, Japan
Interview : Shota Kato
Photo : Kento Hirasue / Hans Kurihara
スパイス食堂クーポノスのある道を抜けたところに、突然現れるおしゃれな雑貨屋。中に入ると、様々な場所からセレクトされた質の高い雑貨が集まっている。そんな『SPICA雑貨店』のオーナーは、生まれも育ちも生粋の別府である高野豊寛さん。『SPICA雑貨店』の場所はもともと昭和30年ごろから表具屋だった高野さんの家族が作業場として使っていた場所だったそうだ。子供のころから別府で育ってきた高野さんがどのような出来事がありSPICAを始めたのか、そして高野さんからみる「SPICA」らしさ、「別府らしさ」とは。そのストーリーに迫る。
そうですね、意識的にそういう風に考えることもそこまではないんですけど今振り返れば、やはり全てが繋がっていたのかなっていうのは感じますね。ただ、始まりはすごく実は僕らも曖昧な中始めたことなので、「こういうお店を持とう」とか、ビジョンがあって始めたわけではないんですよね。
お店をはじめたきっかけというか、おぼろげにあることでいうと、僕たちは20代の頃旅をしたりすることが好きだったんです。旅行といってもそんな遠くまでは行っていないんですけど、熊本にいったりとか福岡にいったりとか。長崎に行ったりとか。行く場所行く場所で置いてるものも全然違いますし、その旅先で出会うセレクトショップだったり地元の方が営むお店はその土地の特性であったり、お店の考え方が現れているんですね。
それをやはり垣間見れるのが面白くて刺激的だったんですよね。若い時に回ってそういった思いを感じて、今度は自分たちが、旅先で別府に来た方達に「こんな面白い物みて」とか、新しい物との出会いのばみたいなのができたらいいな、ていう思いだけでした。この洋服を紹介しよう、という具体的なものは最初はなかったんですね。
そうですね。最初はお店とも言えない形態から始まったんですけども、そこから様々な作家さんに出会うことによって、色んな人間関係ができて自分の中でも価値観にも変化が現れたんです。自分たちにとっても面白いし、やはりこういう気持ちをお客さんに伝えていきたいなっていう気持ちが芽生えていくというか。なのであまり深く考え込まず、その時その人達との流れであったり繋がりを感じれる場所になったらいいなと思いました。
その時はもう、サラリーマンですね。
いやそんなに。仕事が忙しかったので、そんなに休みも取れないんですよね。
たまには土日連休で休める時とかに、いくとやはり日々の生活から抜け出た開放感があって。そういう部分で多分余計に感じてたのかなとは思いますね。なのでうちのお店に来てくださったりするお客様も同じかなと。忙しい日々の中でできた休みできてくださった時に面白いものやキラキラしたものとかに出会って、「別府ってよかったね」と思ってもらえるような、僕たちが地方で接客だったりとか人のつながりとかで体験したよさを今度はぼくたちが伝えることができたらいいなとすごく思いながらやっていますね。
最初からそういう空間を作ろうという気持ちでもなくて、人と、作家さんと接するというところからいろんな考え方だったりとか、表現とかも見えてくるものがありますし、せっかくだったらもっとみてみたいという思いが強くなって、こういう空間を作るようになりましたね。
やはりヒトとモノとが出会う場所なので、例えば地元の作家さんも展示しますが、県外からのお客さんが来た時にみていただくと新しい出会いになりますし、逆に県外の作家さんにも使って頂いているんですよ。地元のお客さんにもみていただけるので、そういうのがミックスされた面白さというんでしょうか。地元の方には外のものを見ていただきたいですし、県外からきているお客様には地元のものをみていただきたいので、そういう側面ではいい機能を果たしているのかなと思います。
実はそんなに深くは考えていなくて、そういった物が凝り固まってしまうと、逆に停滞してしまうかなというのが自分の中にはあるので、SPICAらしさというよりは「いろんなモノ・ヒトが集まっている場所がここである。」というイメージがあります。なのでパッケージ一つにしても、いろんなパッケージのものが置いてありますし、なにかを統一しようとか、空気感をこうしようというわけではなくて。
ぼくたちは伝えるっていうところに関しては責任をものすごくもってますね。そういうところで新しい繋がりもできたりとか。そういうところも見ていただけるように責任をもってやっています。しっかり見ていただけるようにつたえるのが大事かなと思います。
全て別府のもので揃えるっていうのもそれはそれで面白いと思うんですけど、僕自身も別府に住んでいる人間で、やはり外のものも凄く興味ありますし、もちろん地元のものもすごく興味あるんですけど、自然体でいろんなモノやご縁が集まるというのが面白いのかなと。
僕とかはお店を一つの雑誌としてよく捉えていて、個展とかは特集だったり、常設は連載というか、連載の中で人気が高かったものを特集するとか。そういった色んな切り口でお店を見ていただけたらとおもって、メリハリをつけながら魅せるってうところはそういうところを意識して工夫していますね。
たとえば個展をしていただくと、雑誌でもそうですがその特集のものが表紙になるじゃないですか。それによって空気感がかわるんです。また違う個展をするとまた違うお店の面構えになるというか。なので色んな作家さんと接するとそういうところが吸収できますし新しい発見もありますし。
夏になると今年とかは台湾の展示で生活雑貨や洋服の個展をしていただいたんですけど、そうするとお店の中が凄く原色で溢れるんですよね。そういうものにまた僕たちも刺激を受けてまた選ぶものも変わるかもしれないですし。人間ってほんとにそういうものかなって。こういうスタイルを貫いていきたいというよりは積極的に色んなものから刺激を受けて変化していくというか。自分はそうありたいなと考えています。
多様性というか、いろんなヒトやモノが自然に日々の営みなど、そこにはいろんな性質のものがあると思うんですが、それがひとまとまりに纏まっているところが別府らしさなのかなと。そこが僕自身も憧れる面白さですね。
日々色々なものが混ざっている、別府の町とSPICAは似ていると思うんですよね。県外の方がこられたり、地元の方がいらっしゃったり、いろんなヒトが出入りすように、お店もやはりそうあるべきなのかなと。それはぼくたちが別府でお店をするっていうところでは凄く大事にしているところで、「別府はこういうところである」ではなくて、いろんなモノ・コトが動くところが別府らしさというか。そうところに近づけたらいいのかなと思ったりしています。なので審美眼、というよりは全部自然な流れでここまできている感じはありますね。なんていいますか、「無理なく、出来ることを、自然に」と。
コンビニで買い物に行くだけでもいろんなヒトたちがくるし、色んな人が、お年寄りからこども、働いている人だったり、すごく面白いというか。そういうところから多様性を感じます。
近くの居酒屋行った時もテーブルのカウンターでお酒を飲んでいる時もいろんな人がいらっしゃって、色んなお話をしていて。観光の人もいれば地元の人も一緒になってお酒をのんでいたりとか、外国のお客さんもいらっしゃったりとか。元々土台に観光地という歴史があるので、やはり皆さんウェルカムという気持ちもありすっとはいってきやすい。そういうところは凄くいいところですよね。
僕たちも子供のころから、別府はそういうところなので、そうやって教えてこられて中にいるので、それが普通なことですね。
なにもしない旅もありだとおもいますし、そこは自由というか。いろんなところを散策する方もいらっしゃるとおもいますし、そこはみなさんそれぞれの別府の良さといいますか。街をのんびり歩くだけでも空気感というのは感じていただけるかとおもいますし。
ぼくは街歩きは個人的に好きなので、今でも息子とたまに時間があるときは散歩したりするんですが、ただただ街を歩いて、色んなお店があるので、中に入ったり入らなかったりもあるんですけど、そこの空気感を感じて歩くのがすきなので古い街並みが残っているところや市場が残っているところもあるのでそういうところを歩いて空気を感じられればなと。
ゆっくりしたい時はとことんゆっくりして、でそれに飽きたら、またうごきだすでいいと思うので。ほんとに別府というのはゆっくりする人にはずっとゆっくりしていただける土地でもありますし、じゃあ何かを求めてといえば街の中には色んなものや人がいたり、なのできた人きた人に合うなにかがあるのかなと思います。
別府市立田町1−34
10:00〜17:00
水曜
09094760656
5台
Instagram:https://www.instagram.com/spica_beppu/
Projects that we have worked over the years in Beppu.