Culture Magazine from Beppu, Japan
「別荘から、宿へ」 "Beyond a villa"
Interview by: Kenzo Fukagawa and Hans Kurihara.
Photo Credit: Hiroshi Okamoto
Date: DEC. 6, 2017
Yumi Yamada, Okami of Yamada Bessou interviewed at the reception room.
ぼくが別府を好きな理由の一つは、いつ帰っても迎えてくれる場所があるということ。久しぶりに会っても、それまでの時間の長さを感じさせないくらい自然に会話が始まって、いつも通りのテンポで会話が進んでいく。「今日は何をして、これから何をするのか。」そんな他愛もない会話をする時間も、別府に帰った時の楽しみの一つだ。
今回ご紹介するのは、実際に別荘だった建物を利用して、現在は旅館として運営している「山田別荘」だ。昔ながらの日本家屋の佇まいを残す山田別荘は、外国人観光客からの人気が高く、家族連れから一人旅まで、幅広い客層に愛されている別府を代表する宿だ。
晴れた日の昼間は暖かい日が差す縁側で横になりながら本を読み、夜になると露天風呂に浸かりながらその日の疲れを癒し、部屋に戻れば畳の匂いに心落ち着かせながら布団に入る。そんな贅沢な一日を過ごすことができる。
今回は、そんな山田別荘を運営されている女将の山田るみさんに、山田別荘の歴史や、山田別荘が大切にしている思いをお聞きした。
そうです、そうです。元々は民家で、私のひいおじいさんの時代にね。今私たちがいるのが本館って言って、そこの大広間と二階の部屋とお風呂がある部分は昭和5年(1930年)に出来たから、後少しで築100年くらいになるんかな。築100年の建物はねー、別府でもなかなか無いかもしれんねー。鉄輪にある富士屋さんとかはもう100年くらいになるんやないかな。後から手を入れた部分は少しだけ不具合が出たりするんですけど、その他は昔のまんまで綺麗な状態なんですね。だから昔の建物はすごいなーって思いますね。」
戦後なんですけど、昭和26年(1951年)くらいから旅館になったんですね。それまでは個人の家として使ってたんです。周りのお家とかも結構立派でね。別荘みたいな建物がぽぽぽぽって出来てたんですよ。でもその頃って、ここから海岸までなんの建物もなくて、海岸の松林とかが見えてたんじゃないかって話でね。今でこそ家の周りも賑やかな感じになってますけどね、急に街の中に(山田別荘が)現れるから旅行者の方はびっくりされるみたいですね 笑 ホームページ見て、『山の中にあるんじゃないか?』って思われてるみたい 笑
元々は東京でちょっとだけレストランとかで働いていたんですけどね、うちの父が亡くなって、代替わりしようかなーって感じになってからなので、18年前くらいですかね。まぁその頃はまだ女将さんっていうよりかは、ただ営業しているみたいな感じでしたね。10年前くらいにプロデューサーの方とお会いして、本格的に旅館としてやらないといかんなーと思って、段々と私のやりたい方向になってきましたね。うん。
Yumi Yamada while been interviewed at the reception room in Yamada Bessou.
Yumi Yamada, in front of the entrance.
Onsen of Yamada-Bessou.
そうですね、昔から来てくださっていて、私の代に変わってからも来てくださる方もいますね。昔と変わらんなーとか、ここは変わったなーとか言ってね 笑 特に露天風呂はみなさん喜んで下さいますね。なんか、内湯って日本に来たらどちらの旅館でもね、入れるじゃないですか。だから露天風呂は『オーナイス!』『アメイジングー!』と言って感動して下さいますね 笑 気持ちいいから明日の朝も入りたいってね 笑
確かにそれはあるかもしれん!東京とか京都に行かれた方が、その後に別府にきてくれて『温泉最高!』っち喜んで帰ってくれるのは嬉しいですねー。3、4年前とかは、まだ温泉の入り方がわからんって人が多かったりしたから、温泉の入り方の説明の文章を書いたり、本を見せたりして、温泉入る前に体は洗うとかね 笑 でも最近はだいぶみなさんもわかってきたみたいで、日本に行くっちなったら一緒に合わせて日本文化も勉強してから来るって方が多いので、とんでもないことをする人はいなくなりましたね 笑
そうなんですよ 笑 だから、山田別荘の感想?口コミ?みたいなところに『旅館に来たと言うか世話焼きの親戚のおじちゃんかおばちゃんの家に遊びに来た感じだった。』って書いてるのをよく見るんですね 笑 そういうの見て、まさにその通りだなーって、私たちの目指してるものだなーって。高級旅館みたいなものではなくて、そう思ってくれてるんなら正解だなって 笑
そうなんですよ。でも、ここってうちの家と旅館が一緒になってるじゃないですか。家でもあるんですけど、旅館として、異空間というか、ぴちっとしないといかんなーって部分もあるんですけど、家みたいなだらっとした部分もあって、ぐちゃぐちゃな感じがどうお客さんたちに映るのかなって思ってた時期もあったんですね・・・。でも、外国人の方々から見たら、子供がいて、お母さんがいてっていう日本の家族の日常が見れることがとてもいいよーって言われてね。あー、そうなんだーって。
そうそうそう!そう、のんびり。やっぱりくつろいでもらって、本当に自分の家みたいにしてもらいたいっていうのが、旅館ではなくて、なんちゅうんか、ぼくらの別荘。なんか自分の別荘っていう感じで捉えてくれてるほうが良いのかなって 笑
大分県別府市北浜3丁目2ー18
別府駅から徒歩8分
別府北浜バス停徒歩5分
0977−24−2121
文責:Fukagawa Kenzo
写真:Okamoto Hiroshi, Shimizu Takahiro
プランナー:Kurihara Hans
協力:Shin Emptyhead Suenaga
Projects that we have worked over the years in Beppu.